市民公開講座
市民公開講座 お礼


「市民公開講座」を終えて

医療法人 小金井中央病院 理事長
田中 昌宏

 去る6月11日、土曜日、2時から5時の午後のひととき、下都賀郡石橋町、グリムの里『グリムの館』において、日本消化器病学会関東支部主催、第37回市民公開講座が開催されました。『グリムの館』はJR石橋駅から車で北西に6〜7分走った下古山地区の文教通りを一辻、西側に入ったところに位置し、建物外観の雰囲気はその名前が示すように如何にも、お伽の国の館に見えます。入り口を入ると1階部分は小ロビー、講演会場、そして講師控室のような小部屋からなり、2階部分は資料館と喫茶室に当てられています。町営立の建造物で、緑濃い樹木が林立する静寂な森の中の雰囲気とは異なりますが、時の流れを一瞬、忘れさせるような人影もまばらな静かな林の中に控え目に佇んでいます。

 「高齢社会と胃腸の病気」を主題に、1.ピロリ菌感染症の最新の話題(演者:自治医大消化器内科教授 菅野健太郎先生)、2.内視鏡手術の進歩(演者:自治医大消化器外科教授 永井秀雄先生)、そして、3.大腸癌の早期発見一治るうちに見つけるこつは?(演者:自治医大大宮医療センター外科教授 小西文雄先生)の順に3講座を開講いたしました。失礼ながら、演者は皆、エリートなだけに「調べ高ければ聴くもの少なし」(余り格調が高いと聴衆は少なくなる意)を心配していました。しかし、講師陣は一流の臨床医だけあって受講者を飽きさせない話術を身につけており、親しみのある語り口と色彩豊かな綺麗なスライドを巧みに供覧し、聴衆の耳目を瞬く間に惹きつけてしまいました。タイムリーな講演内容は喉の渇きを癒す飲料水のように聴衆の心に深く沁み込み、吸収されていく様子が、脇で座長を努める小生には、とても良く理解できました。講義終了後の質疑応答も和気あいあいの雰囲気の中で行われ、参加者の健康に対する関心の強さと講師陣の丁寧な応答がとても印象的でした。来場者は開演時点で既に定員の300人を越し、通路部分の床スペースも詰めて予備椅子を追加する状況でした。最終の集計では407人の入場者を数えました。

 皆様のご尽カにより、かくも盛況の内に市民公開請座を終えることができましたことを安堵すると共に微力ながら世話人の責任を果たせた事を大変嬉しく思っています。ご多忙のところ、土曜の午後という貴重なお時間にも拘わらず講演を快諾いただきました菅野教授、永井教授、そして小西教授に改めて御礼を申し上げたいと思います。また、自治医大消化器内科の医局の先生方や秘書の皆様、そして、浄財を寄付していただいた病院出入りの多数の業者様、そして、数ヶ月も前からの長期間にわたり東京の学会事務局との対応や会場の手配、集客計画、準備等の苦労に追われ、会場の運営や設営、当日の予備駐車場の確保や入場車両の誘導に至るまで骨身惜しまぬ努力を傾注してくれた多くの病院職員の方々にも、ここで改めて謝意を表したいと思います。誠に有り難うございました。

 過去の例を見る限り、市民公開講座は利便性の高い県庁所在地や人口の多い市街地での開催が通例で、今回のような辺鄙な土地での開催は極めて稀といえます。小生が第37回市民公開講座の世話人に指名された時、田舎に棲む住民の一代表として都市部での開催と比較して遜色のないように、とりわけ国分寺地区、石橋地区、南河内地区の町民の方々が大勢参加できるように最大限の努力を払い、贅沢は承知の上で多くの一流講師陣を配して、アットホームながら華やかな町民公開講座にしたいとの念を深く心に刻んでいました。また、地域住民の方々に一流、現職教授の生の講義を聴く機会を提供できることは素晴らしい事だという思いもありました。高齢の方、病院通院中の患者さん方、彼らでも受講が可能な場所、それは国分寺地区に近い所しかありませんでした、宇都宮市や小山市での開催では彼らは行かれない・・・・。このような数々の理由で『グリムの館』に白羽の矢が立つことになりました。

 小金井中央病院も開設して既に17年、外に目をやれば、少子高齢化・財政難・国民教育の在り方など時代を取り巻く日本の環境は厳しさを増して、国民一人一人の責任分担が明確化されようとしています。しかし、病院の中では自分たちが努力を重ね、それなりに上首尾に生きてきたという自負が無気力感や倦怠感となって浮遊し、ときには“危機意識は余所のことでしょう"のような場面にも遭遇します。公開講座は当日、開けてみなければ分からない聴衆の数、失敗をすれば敗者復活の方法はない、一回で成功する以外はあり得ない。こういうスリル溢れる危機感を体験することは、人生、時には必要なのでしょう。「成功させよう!失敗は許されない」という固い決意で病院が一丸となり、市民公開講座の開催を経験できたことは幸運でした。今後も、このような素晴らしい刺激を重ねて、求心力を高めていくことができたら望外の喜びです。

 当日、入場者のアンケートを御紹介いたします。
【地域別の参加者数】は国分寺町(107人,26%)、石橋町(73人,18%)、小山市(62人,15%)宇都宮市(34人,9%)、南河内町(31人,8%)、その他(25%)。参加者の75%は地元及びその近隣地区という至極当然の緒果でした。
 この公開講座が開催されることを知った契機を問うたアンケートは以下のようでした。
【公開講座を知った契機】病院・配布チラシ(160人,39%)、職員・スタッフ(53人,13%)新聞(45人,11%)、職員家族・関連業者(44人,11%)、他の病院で勧められて(34人,8%)、ポスター(33人,8%)、その他。
 因みに、配布したチラシは34,500枚(参万四千五百枚)、ポスターは720枚でした。


平成17年9月吉日    





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